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ai 約3分

AIにデザインは伝わらない。頭の中の絵は、プロンプトにならない。

Figma MCP、Google Stitch、Pencil、Figma Make。全部試した。デザインの作業量は減っていない。理由はシンプルで、デザインは言葉の前に絵で浮かぶから。

#figma#design#ai-tools#ugokashitekara-katare

動かしてから語れ #6

AIがデザインの作業量を減らしてくれる。そう思っていた時期がある。

Figma MCPでコードからキャンバスを直接生成した。Google Stitchにプロンプトを投げた。Pencilで高速プロトタイプを量産した。Figma Makeも回した。

全部試した上で言う。デザインの作業量は減っていない。

AIの出力を、手で直す時間

クライアント向けのカードデザインをFigma MCPで生成した。

出力は「それっぽい」。レイアウトも色も破綻していない。でもFigmaでレイヤーを開いた瞬間、手が止まった。

コンテナの構造が、Figma的に意味不明だった。

CSSのflexboxとしては正しい。でもFigmaはコードエディタじゃない。テキストを数ピクセルずらしたいだけなのに、Auto Layoutのネストごと崩れる。結局、一から作り直した。

フォントもInterが出てきた。高級時計ブランドのカードにInterは使えない。AIっぽすぎる。Cormorant Garamondに差し替えた。

AIが生成した構造は「手で触る」前提で作られていない。

核心は、順序の問題

デザインは頭の中に絵が浮かんでから手を動かす。

フォントの太さ。余白のリズム。色の温度。言語化する前に見えている。手を動かしながら「これだ」に近づけていく。

AIは逆だ。まず言葉を要求する。

「ダークトーン、Cormorant Garamond、時計画像を右配置、角丸カード」。書けば、それなりに出てくる。全部細かくプロンプト化すれば、たぶん上手くいく。わかっている。

でもそれは、頭の中の完成形を全部言語化してからAIに渡すということだ。 それができるなら、もう自分で作ったほうが早い。

言語化の手間が、制作の手間を超える瞬間がある。

「このほうがカッコよくない?」

デザイナーなら毎日出てくる一言だ。2案並べて、直感で選ぶ。でもなぜカッコいいのか、言葉にしろと言われたら詰まる。

その「このほうが」を説明するのにかかる時間で、手が速いやつならもう作り終えている。

右脳的な直感は言語化しにくい。デザインは絵が先で、言葉が後。AIは言葉が先で、絵が後。この順序の逆転が、歯痒さの正体。

Figmaの開発者には見えていない

Figmaもアプデを重ねている。AI生成、コード連携、プラグインエコシステム。

でもたぶん、開発チームはデザイナーのような使い方をしていない。

コード→Figma変換はある。Figma→コード変換もある。でも「頭の中の絵を、言語化せずにキャンバスに落とす」導線がない。

手描きのラフを読み取って構造化する方向なら、まだ救いはある。それでも現状は「テキストで指示してください」がスタートラインだ。

1人で納得している。納得しないとやってられない。

AIが悪いわけじゃない

誤解しないでほしい。

コードの実装速度は確実に変わった。言語化できるタスクはAIで加速する。このブログだって、構成やリサーチはAIと組んでいる。

問題は、デザインの核心が「言語化できない領域」にあること。

色の微調整。レイアウトの数ピクセル。全体を見た時の「気持ちよさ」。これをプロンプトに落とせる人間がいるなら、会ってみたい。

デザイン作業の量は減っていない。 AIが周辺を効率化してくれた分、デザインそのものに集中できる時間は増えた。それは恩恵だ。でも「AIでデザインの作業自体が減る」という期待には、まだ応えられていない。

当分、手は動かし続ける。