Notionとは何か。2年使って、まだ答えが出ない。
「動かしてから語れ」シリーズ #4
みんな大好きNotion
「ツール連携せずにNotion使ってる方はマジで損してます」 「AI時代とNotionは非常に相性が良い」 「Claude MCP × Notion連携ができてる!可能性無限大!」 「Claude Code + Notion MCPがビジネス側のAgent Workで最も生産性が高まる」
Notionの話をすると、みんな目が輝く。「使ってないんですか?」と、まるで文明を知らない部族を見るような目で見てくる。
使った。2年。離脱した。
何をするツールなのか、最後までわからなかった。
メモなのか。タスク管理なのか。
Notionを開くと、何でもできる雰囲気がある。メモを書ける。タスクを管理できる。Wikiが作れる。データベースが作れる。カレンダーもある。ダッシュボードもある。
何でもできるのに、何をすればいいかわからない。
メモを書きたいなら、メモアプリがある。タスクを管理したいなら、タスク管理ツールがある。Wikiを作りたいなら、それ専用のツールがある。それぞれの専門ツールは、開いた瞬間に「こう使え」と導いてくれる。
Notionは導かない。自由を与えて、放置する。
「何でもできる」は、「何をすべきかわからない」の裏返し。 万能ナイフは、どの刃も専用品に負ける。
癖がありすぎる
仮に「メモツール」として使おうとする。
ブロックを選ぶ。テキスト、見出し、リスト、トグル、コールアウト、引用、コード。まだある。データベース、テーブル、ボード、タイムライン、カレンダー、ギャラリー。
メモを書きたいだけなのに、ブロックの種類を選ばされる。これはUIの設計思想の問題だ。ユーザーに判断を委ねすぎている。
ページの階層も独特。ページの中にページが作れる。ページの中にデータベースが作れる。データベースの中にページが作れる。入れ子の自由度が高すぎて、3ヶ月後に自分が作った構造を自分で理解できなくなる。
学習コストに見合うリターンがない。 同じ時間をかけるなら、専用ツールを覚えた方が早い。
ドヤ顔の消費期限
周りにNotionを布教する人がいた。
テンプレートを共有して、ワークスペースの構造を見せて、「これで全部管理できる」と言っていた。確かに見栄えは良かった。Notionのスクリーンショットは映える。ミニマルなUIが「デキる感」を演出する。
2年後、その人たちは誰もNotionの話をしなくなっていた。
理由は想像がつく。運用が続かなかったのだ。何でもできるツールは、運用ルールを自分で決めなければならない。ルールを決めても、チームメンバーが守らなければ崩壊する。ルールを守らせるコストが、ツールの便利さを上回った瞬間に、みんな静かにやめる。
ドヤ顔の消費期限は2年。 それがNotionの観測結果。
AIを足しても、何屋かわからないまま
2026年、NotionはAIに全振りしている。
Notion AI for Work。AIミーティングノート。エージェント機能。Claude Code × Notion MCP連携。ダッシュボードにAI。検索にAI。全部にAIを載せた。
で、何が変わったのか。
「Claude CodeからNotionに直接書き込みできる!やばい!」と言っている人がいる。書き込んで、どうするのか。Notionに書き込んだデータを、次に誰が読むのか。どのフローで使うのか。
自分の環境では、Notionを使う場面がない。メモはマークダウンファイルで十分。タスクはGitHub Issues。ナレッジはリポジトリのドキュメント。全部Claude Codeから直接触れる。Notionという中間層を挟む理由がない。
何屋かわからないサービスがAIを足しても、何屋かわからないまま。 AIは万能ナイフの刃を増やしただけだ。どの刃を使えばいいか、まだ誰も教えてくれない。
動かしてから語れ
このシリーズで4本書いてきた。channelsは止まった。Stitchは甘かった。Remote Controlは切れた。
Notionは、何だったかわからなかった。
これが一番怖い。壊れたツールは直せる。甘いツールは鍛えられる。切れるツールは繋ぎ直せる。
でも「何をするものかわからない」ツールには、改善の方向すら見えない。
設計図は渡さない。壁の場所は教えた。超え方は、自分で見つけろ。
ただしNotionに関しては、超えるべき壁がどこにあるのかすら見えなかった。それが正直な感想だ。
それぞれのWe ship. We own.があっていい。自分のやり方で、自分で到達しろ。